農業用水を利用した小水力発電、那須野ヶ原土地改良区連合を視察

12.02.06


 農業用水路を利用した小水力発電で実績をあげている那須野ヶ原土地改良区連合(栃木県那須塩原市)にお邪魔し、発電施設等の見学をさせていただきました。

 前日の夕方、加藤英雄県議、木幡充県議団事務局長とともに、レンタカーで出発しました。知り合いの民宿に一泊。朝、少々道に迷いましたが、約束の9時半にそれほど遅れることなく、土地改良区の事務所に到着しました。

 事務所では、土地改良区連合発電担当技師の吉澤茂樹さん、発電設備の開発設置・維持管理を請け負っている「株式会社・中川水力」の山越文雄さんが対応してくれました。早速、山越さんから、パワーポイントを使っての説明をいただきました。

 土地改良区連合でまず設置されたのが、那須野ヶ原発電所。平成4年(1992年)のことだといいます。最大出力340キロワット。毎秒1.6トン、28メートルの落差を利用しています。年間発電量や単価については、言及されませんでしたが、東電への年間売電額はおよそ3000万円とのことでした。
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   写真   那須野ヶ原発電所で説明を受ける右から加藤英雄県議、小松実と中川水力の山越さん。 左のグリーンの設備が発電機。
 次に、農村にある身近なエネルギーを上手に活用しよう!とのスローガンで2006年に設置された「百村第一、第二発電所」。農業用水路のわずか2メートルの落差を活用して、最大出力30キロワットの発電機を合計4基設置しています。使用水量は最大で、毎秒2.4トン。非かんがい期の今は、1トンを少し超える程度だといいます。それでも、4基合わせた年間売電額は、600万円から700万円だとか。
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   写真   農業用水路に設置された百村発電所。パネルで説明を受ける加藤県議と私。(上) 発電装置の中を覗き込みながら、説明を受けました。(下)
 さらに、蟇沼(ひきぬま)第一・第二発電所。もっとも最近の2009年の設置です。第一と第二合わせて、最大出力は540キロワット。トラブルがあって、今は通年での活用になっていませんが、通年ベースでは、4000万円程度の売電額になるとのことでした。

 それぞれその時々の国の補助事業を活用しながらの取り組みですが、土地改良区の農家にかかる賦課金(灌漑施設等にかかった費用の農家負担分)を少しでも減らしたい、との思いで始まった事業だそうです。土地改良区連合の組合員は、3382人とのことですが、用水路等を使った小水力発電の売電によって、10アール当たりの農家負担は、2000円程度軽減されているとの説明でした。

 懇切な説明のあと、私たちの矢継ぎ早の質問に、吉澤さんが的確に応えてくれました。その後、山越さんに、那須野ヶ原発電所、百村第一・第二発電所をご案内いただきました。山越さんは、小水力発電の技術は今、発電機の小型化、発電効率の向上等々、日進月歩だといいます。

 千葉県は全国有数の農業県。農業・農村地域に無尽蔵に存在する自然エネルギーの開発に、大きな可能性があると思います。「中川水力」の山越さんは、上水道施設や工業用水・下水処理場など、さまざまなところに可能性があると、訥々と、しかし情熱的に語っていました。お忙しいなか、対応していただきありがとうございました。

この記事へのコメント

米粉パン
2012年02月11日 04:22
いつも、ご苦労様です。
良いところに行ってこられましたね。
去年、鴨川で棚田とかやっている友人が、『季刊地域』で《特集いまこそ農村力発電≫とか読んで、太陽光発電とか小規模水力発電をやりたがっていましたが、補助金が少なくて…。
話を聞いていて、太陽光発電と小規模水力発電を組み合わせたハイブリット棚田発電なら、夏等の日照時間が多く水が少ないときに揚水し、夜間や水の多いときに発電し、一種の揚水発電にもなり、電力の安定供給になると思うのですが、設備予算の補助が少なくなかなか出来るものではない。
特に、風評被害とかあったせいで、普段、現金収入の少ない農家は、なかなか投資に踏み切れないのが現状に思えます。
太陽光発電や小規模水力発電の農家への普及には、データを集め、発電量の保険を保険会社にさせて、安定した収益保証がないと、ある程度の蓄えのある農家が思いつきと業者にいられていくるめ始めて、不適切な設置やメンテナンスが悪くて損を出し、それを見た他の農家がやりたくなり、結果的に普及の妨げになっていたなんてことがないような地道な準備が必要と思います。
千葉県の場合、海に囲まれていて塩害対策や台風の対策など、細かくチェックしておかないと、悲しいことになります。よく、設置工事でぶつかり塗装が剥げたところから太陽電池パネルの架台や、端子などが錆びているのを見かけます。
なかなか難しいですね。
小松実
2012年02月12日 22:45
いつも、貴重な情報ありがとうございます。千葉県も、ようやく自然エネルギーに目を向け始めましたが、東京都などの取り組みと比べると、まだまだ緒に就いたばかりという感じです。勉強しながら、エネルギー政策の抜本的転換に寄与したいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。