千葉県教育庁、実教出版の日本史教科書採択校へ圧力

14.08.16


 神奈川県教育委員会が、県立高校で使用する教科書について、実教出版の日本史教科書を選定しないよう指示していたことがわかりました。今朝のしんぶん赤旗が報じています。
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 同教科書が、「日の丸掲揚・君が代斉唱」について、「一部の自治体に強制の動きがある」と記載していることを県教委が問題視し、各学校の教科書選定に不当に介入してきたことが改めて明らかになりました。

 公表された資料(県教委主催の教育課程説明会についての「復命書」14校分)によると、ある高校は、県教委の説明について「実教出版『高校日本史A』『高校日本史B』は採択しない。候補にあげることも不可」と報告。また別の高校も「実教出版の日本史A、日本史Bは、不採択にする。再考にならないよう候補にも載せないでもらいたい」と報告しています。

 情報開示請求でこの資料を入手した「公正な教科書採択を求める県民の会」の岡本清弘代表は「県教委の指示は、各校の主体的選定作業を阻害し、教員の教育活動そのものを否定する暴挙です、指示の撤回、日本史教科書の選定のやり直しを行うよう求めていきたい」と、コメントしています。

 実は、千葉県議会でもこの間、「日本会議地方議員連盟」所属の斉藤守県議(船橋市選出)などが、本会議質問で執拗に実教出版の日本史教科書に対する攻撃を繰り返し、これを梃子に県教育庁が、採択校に対して「平成26年度使用教科用図書の使用に係る留意事項について」などと称する「通知」を出し、圧力をかけてきました。(2013.10.09および2014.03.04付け「ひとりごと」参照)

 さらに今回、実教出版日本史教科書を採択した学校長あてに、教育庁教育振興部指導課教育課程室長の名で、「選定理由の追加提出について」という「事務連絡」文書(8月4日付)を出していたことがわかりました。
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 「事務連絡」は、当該「日本史教科書の選定理由について、採択のための説明が不十分」などとしたうえで、高等学校学習指導要領等を踏まえて「下記の(1)~(4)について再度作成の上、8月13日(水)までに担当あてEメールで提出してください。」「今後、提出資料等を踏まえ、ヒヤリングを実施させていただきます。なお、提出資料の内容が十分でない場合は、ヒヤリングを8月中に実施する場合もありますのでご承知おき願います。」などと、強圧的な内容になっています。

 (1)~(4)は、以下の内容です。

(1) 当該教科書を使用するに当たり、通知(平成25年11月20日付=小松)の別添「2 国旗・国歌の取り扱いに関しては、高等学校学習指導要領及び同解説『特別活動』(別記1)において、『入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国家を斉唱するよう指導するものとする』と明記されていることに留意すること」「実教出版株式会社『高校日本史A(実教日A302)』および『高校日本史B(実教日B304)を使用する場合は、特に『高校日本史A』P.185の注釈⑥及び『高校日本史B』P.247注釈⑥の指導に際して、上記2に留意して、生徒に混乱が生じないよう丁寧に指導すること。』を踏まえて、「高校日本史A」P.185の注釈⑥及び「高校日本史B」P.247注釈⑥について、どのような資料を使って、具体的にどう指導する計画か。

(2) 当該教科書を使用するに当たり。太平洋戦争における各国の犠牲者数の表記や考え方(巻末記載)について、どのような資料を使って、具体的にどう指導する計画か。

(3) 当該教科書を使用するに当たり「南京大虐殺」の犠牲者数(日A302のP.114、日B304のP.208)について、どのような資料を使って、具体的にどう指導する計画か。

(4) (1)~(3)以外に、当該教科書を使用するに当たって捕捉すべき事項。

 (1)は、ずいぶんごちゃごちゃしていますが、要するに実教出版の歴史教科書が、国旗・国歌について「一部自治体で公務員への強制の動きがある」と注釈で記述しているが、どんな資料を使って、どう指導するか報告せよというものです。

 それでなくても忙しい現場の教員にとって、たいへんな労力と時間とを強いる中身であり、何より、すでに校長のなかには、昨年11月の「通知」に胆をつぶして、実教出版の日本史教科書を使わないでほしいなどと、担当教員に言う者がいるくらいですから、実教出版の教科書使用を委縮させるに十分な圧力といえます。

 (1)~(3)の中身は、いずれも斉藤守議員の議会質問に係るものであり、議員の圧力によって、教育現場の自主性が乱暴に踏みにじられる結果になっています。改定された教育基本法には、なお「教育は不当な支配に服することなく」(16条)との文言が残っています。「教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ」(2条)との文言も残っています。

 そもそも実教出版の日本史教科書は、なにか根本的な間違いを記述しているのでしょうか。教員に職務命令で国旗掲揚・国歌斉唱をさせ、それに対する不服従者をあたかも犯罪者であるかのように辱め、処分するなどということを「強制」と言わずなんというのでしょう。「一部自治体に強制の動きがあった」ことは、事実です。この「事実」を記述することのどこに問題があるというのでしょうか。私たちは、検定制度に重大な問題があると考えていますが、実教出版の日本史教科書は、その検定を通過し、認可されたものです。

 教育的視点を欠いた国家・行政の介入や干渉、権力を持つ政権や政党にとって、不都合な事実は教科書に載せない、などということがまかり通るなら、かつての「国定教科書」への道に逆戻りしてしまいます。

 今回の「事務連絡」は、教育庁、つまり教育委員会の事務を担当するに過ぎない部署が発出したものです。この事務連絡の内容は、教育委員会で決定されたものなのか。でないとすれば、教育委員会は、この事実を承知していたのか。事務方が、このような「二重検定」ともいうべき「事務連絡」を出すことが許されるのか。許されるとしたら、その根拠は何か。

 公立高校の教科書の採択については、文科省などは、都道府県教育委員会等設置者に採択権があるように主張していますが、その法的根拠はあいまいです。根拠として挙げる地方教育行政法の第23条第6号は、教育委員会の職務として「教科書その他の教材の取り扱いに関すること」としているだけで、教科書の採択権には触れていません。むしろ、「各学校においては、適切な教育課程を編成するものとし」(高校学習指導要領第1章総則の1)となっている以上、教育課程の重要な前提である教科書の選択は、各学校の自主性に任せられるべきものです。

 教育基本法の改定を強行した第一次安倍内閣は、第二次内閣の今、憲法の改定をたくらみ、当面は解釈で9条を破壊して、「戦争する国」づくりへと暴走しています。「戦争する国」づくりのために、再び教育をその道具とさせてはなりません。子どもたちとこの国の未来のためにも、またアジアや世界の平和と協調のためにも、私たちの果たさなければならない役割・責任には大きなものがあります。

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