教科書展示会に行こう!

15.06.20


 昨日から始まった来年度から使用される教科書見本の展示会に行ってきました。7月から8月にかけて、各教育委員会は、2016年度から4年間、中学校で使う教科書を採択します。

 千葉市内の展示会場の一つ、千葉市文化センターの5階。職員が一人、ポツンと座っていました。

 入口に近いところに、中学校用の教科書が並んでいます。かつての日本の侵略戦争を正義の戦争だったと主張する「新しい歴史教科書をつくる会」やそこから分裂した「日本教育再生機構」が、それぞれ「自由社」「育鵬社」などという出版社から、「歴史」や「公民」の教科書を出版しています。どんなことが書いてあるのか。開いてみました。

 会場には、コピーが用意されていないので、ページをめくって写真を撮ろうとしたら、職員に止められました。「会場の様子を撮るのは構わないが、本の中身の撮影はダメだ」といいます。「どこにそんな決まりが書いてあるのか。見せてほしい。」「そんな決まりの根拠はなんなのか。示してほしい。」と、言いましたが、若い職員に答えられるはずがありません。「そういうことでお願いしています。」「そう、指示されています。」というだけです。
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 それ以上詰めてもかわいそうなので、そこまでにして、さっそく中身の検討に入りました。しかし、教科書の記述をいちいちメモに取るのは、容易な作業ではありません。育鵬社の中学校歴史教科書「新しい日本の歴史」。「太平洋戦争(大東亜戦争)」という項目があります。本文には「米英に宣戦布告したわが国は、この戦争を『自存自衛』の戦争としたうえで、大東亜戦争と名付けました。」とあります。

 次の「日本軍の進出とアジア諸国」という項目では、小見出しに「アジア独立への希望」とあって、本文には、「長く東南アジアを植民地として支配していた欧米諸国の軍隊は、開戦から半年で、ほとんどが日本軍によって破られました。この日本軍の勝利に、東南アジアやインドの人々は、独立への希望を強く抱きました。」とあります。

 これだけ読むと、「自存自衛」のために立ち上がった日本の軍隊はたいへん強くて、東南アジアの人々は、独立への希望を持った、ということになります。とんでもない歴史の改ざんと言わなければなりません。1940年7月、松岡洋右外相の元で作成された「日独伊提携強化に関する件」という文書に、「帝国の東亜新秩序(大東亜共栄圏のこと=小松)建設のための生存権として考慮すべき範囲は、日満支を根幹とし、旧独領委任統治諸島、仏領インド及び太平洋島嶼、タイ国、英領マレー、英領ボルネオ、蘭領東インド(インドネシア)、ビルマ(ミャンマー)、豪州、ニュージーランド並びにインド等とす。」とあり、この方針にもとづく日独伊三国同盟の条約第二条では「ドイツ国およびイタリア国は日本国の大東亜における新秩序建設に関し指導的地位を認めかつこれを尊重す。」とあります。

 これほど広大な地域を日本の「生存圏」だと勝手に決めて、「大東亜新秩序」だなどと、ドイツ、イタリアとともに、世界の再分割をはかろうとした、ここまであからさまに侵略の意図を明らかにして、実際にそれらの地域を軍靴で踏みにじったのが、アジア・太平洋戦争の実態ではありませんか。それをあたかもアジア解放のため戦争で、アジアに希望を与えた戦争であるかのように描く。子どもたちが、こんな「常識」を持たされることになったら、それこそ、世界の笑いものになってしまいます。

 育鵬社の「公民」の教科書も見てみました。「日本国憲法の制定」という項目があります。本文には「議員はGHQの意向に反対の声をあげることができず、ほとんど無修正のまま採択されました。」「こうして1946(昭和21)年11月3日、日本国憲法が公布され・・・」とありました。これでは、まるで今の憲法に、まったく国民の声や願いが反映していない、ただただアメリカに押し付けられた憲法だということになってしまいます。

 さらに、自由社の教科書「新しい公民教科書」では、わざわざ「日本国憲法の改正問題」という項目を立て、2ページにわたって改憲の勉強をすることになります。本文には「一般に独立国の憲法前文は、自国の歴史・伝統・文化に基づき、憲法の諸原理を基礎づけています。日本国憲法にはそれがないので、改正する場合には、前文で、日本の歴史・伝統・文化にふれるべきとする議論もあります。」と、改憲の方向性を示し、「各国の憲法改正回数」を表で示し、「憲法改正の手続き」を図で示しています。

 「押し付け憲法は変えるべき」「世界ではこんなに変えています」「改憲はこんな手続です」と教える。憲法学者鈴木安蔵たちの民間憲法草案の努力も「主権在民」を盛り込ませた国会論戦も黙殺して、今や国際社会の新たなルールとなりつつある「9条」と「前文」に示された「紛争を武力でなく話し合いで解決する」気高い平和への決意も邪魔者扱いして、ひたすら改憲へと子どもたちを誘導する、極めて危険な中身になっています。

 会場には、B6判程度の小さなアンケート用紙が用意されていました。そこには、「1.展示会の日程等について、2.展示方法等について、3.その他、」としか項目がありません。2のところに、コピーがないなら、せめて写真に収めるくらいは認めるべきだ、と改善を求める意見を書きました。3のその他として、育鵬社や自由社の教科書の記述について、裏面まで使って若干の意見を書きました。

 展示会は、約2週間です。15の採択地区、それぞれで開かれています。千葉県教育委員会のホームページには、会場の一覧が載せてあります。(千葉県ホームページを開き「サイト内検索」で「教科書展示会」と打ち込むと出てきます。)子どもたちのために、この国の未来のために、展示会に行きましょう!そして、展示会の改善を含め、教科書の内容についても、どんどん意見をあげていきましょう。

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