「進化論の最前線」など、新刊本三冊

17.02.08

 先日購入してきた、1月の新刊本を面白く読みました。

 読んだ順に紹介すると「江戸の銭勘定」(山本博文、洋泉社・歴史新書)、「進化論の最前線」(池田清彦、インターナショナル新書)、「日本列島100万年史」(山崎晴雄・久保純子、講談社・BLUE BACKS)という何の脈絡もない三冊。
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 藤沢周平をはじめ、時代小説ファンとしては、どうも小説世界の銭勘定が複雑で、あれっ?と思うことが多い。過日、「幕末単身赴任 下級武士の食日記」を読んで面白く参考になりましたが、これは幕末の下級武士の銭勘定。(この日記を残した酒井伴四郎のドラマがあるテレビ局で放送中ですが、これは日記をもとにした漫画が原作らしく、酒井伴四郎が見たら、怒り出すのではないかという日記無視のドラマです)

 「江戸の銭勘定」は、さまざまな資料に基づいて、おおよそのモノの値段を割り出しています。表紙にあるように、マグロが一尾で二百文・6000円とか、玉子が一個二十文で約600円など、今とは比べ物にならないものもありますが、甘酒が一杯八文で240円、てんぷら一串四文で120円など、今とさして変わらないものも多く、タイムスリップしても、それほどは混乱しないのではないかと思いました。

 それでも、小判一両が銭6000文、銀なら六十匁、ただし銭相場で4000文から10000文に相当したなんてことになると、もうわからなくなります。面白かったのは、歌舞伎の料金。桟敷席になると銀で三十五匁、10万5千円もしたといいますが、「大向う」の立見席なら10文・300円で見られたそうです。その「大向う」から声がかかる役者は、千両役者。実際、団十郎は、年間千両の給金だったそうです。五月に、日本共産党南関東ブロックの前進座観劇会がありますが、その料金は7500円。江戸のころなら250文。ちょうど、酒一升、かつを一匹というところ。高いのか、安いのか、よくわかりませんね。

 「進化論の最前線」は、ネオダーウィニズムに一石を投じる本。ネオダーウィニズムは、「自然選択」とメンデルの遺伝学を加えた「遺伝子の突然変異」、さらにDNAの変異は、適応的でも非適応的でもなく、その拡散は偶然によるという「遺伝的浮動」の三つの柱で説明されるのだそうですが、それだけでは説明のつかない事象がたくさんある、とのことでした。古くは、ダーウィンと同世代を生きた昆虫記のファーブルは、ダーウィンと親交があったそうですが、ダーウィンの進化論を厳しく批判していました。狩りをする蜂たちが、ゾウムシや玉虫など、それぞれの獲物の急所を正確に一撃で刺し、仕留めることから、ダーウィンの言うような進化論では、狩りをする蜂たちは、狩りに習熟する前に絶滅していたはずだと。ダーウィニズムは、この批判を論破できていないといいます。

 池田清彦さんは、遺伝子そのものの変化よりも、「どの時点で」「どの場所で」「いかなる遺伝子を」働かせるかという、遺伝子の発現制御のほうが重要であり、何らかのきっかけでこの「拘束」が外れて遺伝子の発現制御プロセスが変化すると、遺伝子が変わらなくても大きな進化が起こる、と主張します。進化の不思議への疑問は、まだまだ残ったままですが、面白い本でした。

 「日本列島100万年史」は、日本列島の成り立ちから、北海道、東北、関東など全国を7つのブロックに分けて、その地形・地質・地下構造の特長などを解き明かしてくれる本です。

 プレートの動きから、日本海溝や南海トラフ(深さが6000メートル未満だと、海溝ではなくトラフというそうです)と巨大地震、富士山の歴史から九州のシラス台地の話まで、素人にもわかるようにかみ砕いて書いてくれています。

 知らないことを知る、疑問に思っていたことを解決する、読書に勝る楽しみはありませんが、その楽しみの限りのなさと時間の制約と、この矛盾は解決しそうもありません。もちろん、寝床では、藤沢周平さんの古い文庫本に、眠りを妨げられています。

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