今月の読書、不破哲三さんの「『資本論』全三部を読む」(全七冊)など

18.06.28

 不破哲三さんの「『資本論』全三部を読む」(全7冊)を再読しました。「再読」とは言っても、もう10年以前も前になるでしょうが、「資本論」を集団学習する機会があって、その際に自分のレポート部分以外は、ざっと通読したというだけのことでした。

 今回、再読をしてみたのは、今年の1・2月にやはり不破哲三さんの「『資本論』探究――全三部を歴史的に読む」(上・下)という著書が出て、それを読み始めたのですが、とても歯が立たず、「これは「資本論」がある程度頭にないとだめだな」と思ったのが、きっかけでした。とはいえ、あの難解で膨大な本に一人で挑戦する勇気は出てきません。それでは、ということで不破さんの解説に頼ることにしました。
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 代々木の党本部での講義録、ということですが、刊行に当たって手を入れたり資料を加えたりということで、分量は、講義録そのものの二倍を超えているのだそうです。しかも、解説とはいっても、たとえば「資本論」の第二部・第三部、「平均利潤率」だとか、その「傾向的低下の法則」だとか、「信用論」「地代論」などということになると、理解しようとする気力も萎えてしまうといった状態でした。
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 不破さんは、講義の最後の結びで、「マルクスをマルクス自身の歴史のなかで読む」「『資本論』を『資本論』自身の歴史のなかで読む」という見地を繰り返しています。マルクスも最初から「資本論」の見地に到達していたわけではなく、そこに至る経過のなかで、たとえば「恐慌論」など、その思考を大きく発展させていることが指摘されています。また、不破さんは、マルクスが遺した草稿をエンゲルスが「資本論」第二部・第三部としてまとめる際に、重要な部分の見落としや編集上の不十分さがあったことも指摘しています。「そういう場合には、率直な検討をおこなうことこそが、科学的社会主義の先達に本当の意味で敬意を表する態度だと考えて、遠慮なく批判的な吟味をくわえ」(第7冊210ページ)ています。それどころかマルクス自身にも「錯覚」や考察の不十分な部分があることも率直に指摘しています。

 また、不破さんは最後に再び「資本論」の特質について「唯物論の本であり、弁証法の本であり、史的唯物論の本だ」と強調しています。これは私にも、わかるような気がしました。さて、いよいよ「『資本論』探究」に再挑戦です。

 今月は他に、城山三郎の「落日燃ゆ」や、浅田次郎の「天子蒙塵」(第一巻)を近くの図書館から借りて読みました。「落日燃ゆ」は、東京裁判で処刑された七人のA級戦犯のうち、唯一の文官、元の外務大臣・広田弘毅を描いた作品です。処刑後、七人の遺骸は、今の横浜市西区の「久保山火葬場」に運ばれ、荼毘に付された後、灰は太平洋にばらまかれたという噂でしたが、残りが火葬場隅の共同骨捨て場に捨てられました。その灰を掘り起こした男たちがいて、上のほうの灰をかき集めて七等分して白木の箱に収め、遺族に引き渡したのですが、広田の遺族だけは引き取りを断ったとのことです。(その誰の骨灰ともわからぬものが、今、靖国神社に合祀されている)生前、広田の外交努力に水を差し、戦争へとのめりこんだ軍部の代表と一緒にはされたくないという思いがあったのでしょう。膨大な資料を駆使して、しかし淡々とした筆致で描かれた作品でした。
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 「天子蒙塵」(第一巻)は、ちょっと早とちりで、最近、書店に第三巻が並んでいました。第四巻は、九月ごろの刊行とかで、これは揃ったところで読み直したほうがよさそうです。清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀をめぐる物語です。だいぶ以前に「蒼穹の昴」(全四巻)を読みましたが、いわばその続編なのですが、その間に、「珍妃の井戸」「中原の虹」(全四巻)「マンチュリアン・リポート」という連作があるのを初めて知りました。図書館にお願いして、順次取り寄せて読んでみようと思います。

 図書館からは今月、「富士山噴火」などという本も借りました。元自衛隊員のヘリ操縦士が大活躍する本です。疲れた時には、こんなパニックものが案外癒してくれるものです。

 もちろん、寝床では相変わらず藤沢周平さんです。「マルクスをマルクス自身の歴史のなかで読む」ではないけれど、今度は発表順に読んでみようと、「暗殺の年輪」から始めて、毎月2~3冊。とうとう「日暮れ竹河岸」まで来てしまいました。あとは絶筆の「漆の実のみのる国」(上・下)だけになりました。三度目は、どんな読み方をしようか。武家ものと市井ものとに分けて、時代順にでも・・・。いずれにしても、藤沢周平さんの世界とは縁が切れません。

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