テロ脅迫と圧力に屈服―愛知・国際芸術祭

19.08.04


 ひどい国になってきた。テロの脅迫と権力を背景にした恫喝が「表現の自由」を圧殺する、まるであの治安維持法下の戦前を思わせる事態が、21世紀のこの国で起こっている。愛知県で1日開幕した国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(実行委員会会長・大村秀章愛知県知事)の企画展「表現の不自由展・その後」が、3日限りで中止に追い込まれたという。
DSC02496 (2).JPG   4日付「しんぶん赤旗」1面
 「同企画展は、日本の公立美術館で展示を拒否されたり、一度は展示されたものの撤去されたりした作品を、その経緯とともに展示するもの。『従軍慰安婦』を象徴する『平和の少女像』や昭和天皇をモチーフとした作品、公民館だよりに掲載拒否された『9条俳句』、安倍政権批判のメッセージが問題視された作品などが含まれてい」(4日付「しんぶん赤旗」)るという。

 この企画展に対して「ガソリン缶をもってお邪魔します」などとするテロ予告や脅迫のメール、電話などがあり、また一方、河村たかし名古屋市長が「日本の国民の心を踏みにじるもの。即刻中止を申し入れる。」などとする抗議文を提出、菅義偉官房長官も、今後の補助金の交付決定について、慎重に判断するとの圧力ともいえる発言をした。
DSC02499 (2).JPG   4日付「東京新聞」1面
 中止会見に同席した芸術祭芸術監督の津田大介さんは、「行政が展覧会の内容について隅から隅まで口を出し、行政として認められない表現は展示できないということが仕組化されるのであれば、憲法21条で禁止された『検閲』にあたる、という別の問題が生じる。」と主張。「日本が自国の現在または過去の負の側面に言及する表現が安全に行えない社会になっていることを内外に示すことの意味を、よくお考えいただき・・・」と、自制的な振る舞いを呼びかけた。

 しかし、「不自由展」の実施団体は、芸術祭の実行委員会に対して「中止決定は一方的に通告されたもので、契約書の趣旨に反する行為。法的対抗手段も検討している。」との抗議声明を出している。

 こうした事態に日本ペンクラブは、河村名古屋市長や菅官房長官の発言が「政治的圧力そのもの」であり、憲法21条が禁じる「検閲」にもつながると厳しく批判する声明を発表。日本共産党愛知県委員会も、権力者の側からの不当な制限や圧力について「憲法21条が示した表現の自由を侵害するもの」としたうえで、「来場者や職員の安全が危惧されるのであれば、企画の安全性を保持するために行政はさらなる努力をし、芸術表現の自由を守るべきだ」とするコメントを発表しています。
DSC02495 (2).JPG   4日付「しんぶん赤旗」社会面
 今回のように、テロや脅迫、それと軌を一にした権力からの圧力に屈して、「表現の自由」を自粛するなどということが当たり前になるなら、日本の自由も民主主義も、いずれ窒息させられていくのではないか。「表現の不自由展・その後」は、日本における表現の不自由度が、いよいよのっぴきならないところへきていることを証明することになった。