千葉県地方自治研究集会で前川喜平氏が講演

18.06.23


 自治労連千葉県本部主催の「第32回千葉県地方自治研究集会」で、前文部科学省事務次官の前川喜平さんが講演するというので、参加してきました。講演のテーマは、「憲法が求める公務と公務員~森友・加計問題から~」というもの。

 前川さんはまずこの間の経緯について、自分は告発者のように言われているが、告発をしたというような覚えはない。退職後、記者に問われて、出てきた資料は「本物だ」と答え、記者に迫られて会見を行い、そこで述べた「あったことをなかったことにはできない」という言葉が有名になってしまった。常に、受動的に対応してきた、と自らのスタンスについてユーモアたっぷりに語りました。
画像

 前川さんは、加計・森友問題について、いずれも国と地方が連動して動いた問題だと、加計問題での愛媛県や今治市、森友問題での大阪府など、国だけでなく自治体の責任にも言及。そのうえで、ここには「不公正・不透明・不公平」という問題があると、静かな怒りを込めて、権力によって行政がゆがめられていった経緯を語りました。

 安倍首相が加計学園の獣医学部問題を知ったのは、2017年と答弁している点について、前川さんは「嘘に決まっている」と一蹴。愛媛県文書を時系列でみれば、それ以前2015年2月に安倍首相と加計氏が会っていたのは事実。3月には会食をして、その場で加計氏は、地元の動きが鈍いとこぼしている。その直後に、愛媛県と今治市は、37億円の土地と96億円の補助金を決定した、と官僚としての経験からの知見も含めて指摘しました。

 後にわかったことだが、獣医学部新設に名乗りを上げていたもう一つの大学、京都産業大学の資料のほうがはるかに具体的で、京都大学のIPS細胞研究所との連携を掲げるなど、いわゆる「新設四条件」にも合致していた、と前川さん。ところが、あとからつけ加えられた条件によって、京都産業大学は追いやられることになりました。一つは、広域的に獣医学部がない地域でなければ認めない、という条件。すでに近畿地方には獣医学部が存在しています。京産大の入る余地はないということになります。二つには、H29年(2017年)の1月になって、翌H30年4月には開学すること、という条件。たった1年で、施設整備や教職員の確保等々の開学準備ができるわけがない。加計学園のように密かに準備していなければとても無理な話です。そして三つ目。認可するのは1校のみ、という条件です。加計学園だけを認可するためにつけられた条件としか言いようがありません。

 最初から、お友達の加計ありきで、無理矢理にすべて事が運ばれ、それを正当化するためにウソにウソを重ねてきたという構図が、淡々とした話のなかで浮き彫りにされていきました。
画像

 続いて、「公務員の責任」という問題に移った前川さん。公務員の守るべき原則として、憲法15条と99条をあげました。15条には「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」とあります。「全体の奉仕者である」と言えば済むところを、わざわざ「一部の奉仕者ではない。」と、強調されている意図を思うべき、と指摘します。また、憲法99条は、天皇から国務大臣、国会議員からその他の公務員まで「この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」と規定。憲法は国民がつくり、政府・権力に守らせるもの。立憲主義の神髄がここにある、と強調しました。

 公務員は匿名で仕事をするが、当然、個人としての責任も問われる、と前川さんは、薬害エイズ事件で、当時の厚生省の課長が、エイズウィルスを含む血液製剤の販売中止や回収の指示をしなかったことで裁判で断罪されたことを指摘。公務員である前に、一個人、一国民であり、一市民であること、つまり自分自身が人権の主体であり、尊厳ある個人だという自覚が大事だと述べ、それがないと、上から言われたことをそのまま実行してしまうと、警告を発しました。
画像

 「政治と行政」に話を進めた前川さん。「権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する」と、現政権への思いをにじませます。そこで前川さんが、取り上げたのが実名で性犯罪を告発した伊藤しおりさんの問題。逮捕状まで出ていながら、首相や官房長官とのつながりのなかで、逮捕直前にストップがかかり、結局、うやむやにされています。政治と行政では、国民の審判を受けている政治が主導するのが正しいという前川さん。しかし自分は、「忖度」ではなく「面従腹背」でやってきたと告白。沖縄・八重山地方の教科書採択に関するエピソードには、胸のつかえが下りるような思いがしました。

 続いて話は、「政治と教育」へ。名古屋市立八王子中学校での前川さんの公開授業への文科省の=二人の自民党国会議員の異常な介入について紹介がありました。「教育は自治事務」であり、この問題は、「教育への介入」と「地方自治への介入」というやってはならない国の誤りを明らかにしたと指摘しました。

 まだまだレジュメは続くのですが、そしてもっともっと聞きたかったのですが、残念ながら時間がきて、講演はこの辺りでおしまいになりました。前川喜平さん、決して自分を飾ることなく、淡々としかし、腐敗した権力に対して毅然と立ち向かう勇気に改めて敬服しました。どうぞお元気で、全国を飛び回ってください。ありがとうございました。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

この記事へのコメント